前回は、タンパク質代謝の主役であるビタミンB6について解説しました。本日は、血液をつくる造血や、正常な神経機能を維持するために欠かせないビタミンB12*Ⅰについてお話しします。

1.血液の質と神経を守る:コバラミン*Ⅱの働き

ビタミンB12は、化学名をコバラミンといい、水溶性ビタミンの一種です。その主な役割は赤血球の正常な形成を助けることであり、不足すると正常な赤血球がつくられなくなる巨赤芽球性貧血*Ⅲを引き起こす原因となります。

また、ビタミンB12は神経細胞内のDNA*Ⅳの遺伝情報を伝えるプロセスにも関与しており、末梢神経障害*を防ぎ、神経機能を正常に保つために不可欠な栄養素です。十分に摂取することで貧血を予防し、精神的に安定し、記憶力や集中力を高める効果も期待できます。

2.不足が招く身体的・精神的な不調

ビタミンB12が欠乏して巨赤芽球性貧血になると、倦怠感、めまい、動悸、息切れなどの症状が現れます。また、神経にとっても重要な働きをしているため、手足がしびれたり、ふさぎ込んだりといった神経症状や精神症状も起こります。通常の食事を摂っている限り欠乏が起こることは稀ですが、胃の切除手術を受けた方や、萎縮性胃炎などで胃粘膜に病変のある人、高齢者は吸収不良による欠乏のリスクが高まります。さらに、このビタミンは植物性食品にはほとんど含まれないため、ベジタリアンの人は不足に注意が必要です。

3.効率的な摂取とビタミンB群の協力

ビタミンB12は、レバー、肉類、イワシやカツオの血合い、貝類などの動物性食品に豊富に含まれています。光や空気に触れると壊れやすいため、新鮮な食材を選び、保存の際はきちんと密閉することが大切です。

また、ビタミンB12が関わる代謝には、ビタミンB6、ナイアシン、葉酸など他のビタミンB群の協力も必要です。これらをバランスよく整えることで、細胞内の化学反応はより円滑になり、健康の基盤をより強固にすることができます。

【用語説明】

*Ⅰ ビタミンB12:水溶性ビタミンの一種。赤血球の形成や神経の働きを助ける重要な栄養素。

*Ⅱ コバラミン:ビタミンB12の化学名。補酵素として体内の様々な代謝を支える。

*Ⅲ 巨赤芽球性貧血:ビタミンB12や葉酸の不足により、

      正常な赤血球がつくられず、巨大で未熟な赤血球ができることで起こる貧血。

*Ⅳ DNA:細胞の設計図となる遺伝情報。ビタミンB12はその情報の正確な伝達をサポートする。

*Ⅴ末梢神経障害:手足のしびれや痛みなど、脳や脊髄以外の神経に生じる障害。

     ビタミンB12不足がその原因となることがある。

ルネスクリニック日本橋