がんの発症・進展の根本メカニズムに働きかける新たな治療法
がん遺伝子治療とは
がんは、がん抑制遺伝子が様々な原因により傷つきその機能が損なわれることにより死滅することなく無限増殖し、免疫細胞の攻撃をかわして生き残り成長していったものです。遺伝子治療は、がんを抑制する仕組みを回復するがん抑制遺伝子を新たに組み込むことで、がんの増殖を停止しアポトーシス(自死)に導くという治療です。
適応
遺伝子治療は化学療法や放射線治療、光免疫療法などのがん治療との相性がよく、これらの治療効果を高める効果(ブースター効果)が期待されますので、単独治療よりも併用療法の一つとしてお勧めしています。
また、転移や再発の予防、ハイリスクの方の発症予防も適応になります。
妊婦や小児は安全性を考慮し適応外になります。
使用する遺伝子
5種類の遺伝子(P53、PTEN、Cdc6shRNA、P16、TRAIL)の中から安全性を考慮し、がんの種類に応じて効果的に組み合わせて投与します。
治療スケジュール
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1がん治療
単独治療では、1-2回/週、1コース6回とします。通常は30分程度の点滴投与ですが、必要に応じ局所注射を考慮します。
病状に応じ数回の追加や、2コース目をご相談します。
他のがん治療との併用では、そのスケジュールに合わせて治療のタイミングと回数を決めます。 -
2転移・再発予防
原則的にはがん治療と同様ですが、状況によっては以下のハイリスクの場合に準じます。
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3ハイリスクの方の発症予防
数か月毎に適宜実施します。
副作用
いずれも頻度は稀ですが、以下の副作用がみられることがあります。
発熱、筋肉痛、発疹が副作用としては最も多くみられます(1%以下)。
肝機能障害、アレルギー反応、神経障害(しびれなど)など。
腫瘍塞栓の可能性を否定できませんが、その報告はほとんどありません。
まだ治療経験が少ないため、未知の副作用が出現することも否定できません。